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🧪 グループ|ペットの中毒ライブラリーー犬猫の中毒予防研究室ー

公開·52名のメンバー

犬のチューリップ中毒

■概要チューリップは春に咲く植物であり、誤飲すると犬や猫に軽度から中等度の消化器症状を引き起こすことがある。


■原因物質チューリパリン(tulipalin)A、チューリパリン(tulipalin)B、およびチューリポシドが原因物質として知られている。チューリポシドは、tuliposide-converting enzyme (TCE) または tuliposide A-converting enzyme (TCEA)によってチューリパリンに変換される。

これらの物質は、抗真菌作用をもち、チューリップの防御物質として機能している。


■臨床徴候(症状)犬猫で認められる主な症状には、過剰なよだれ、嘔吐、下痢、腹部の痛み、鼓腸が含まれる。これらの症状は通常、摂取後数時間で発症することが多いとされる。


■中毒量どの程度摂取すると中毒を起こすかについては不明である。チューリップのすべての部分が有毒であるが、特に球根部分にはチューリパリンAやBが高濃度で含まれている。


■中毒を起こしやすい動物種・犬種


【門松にも使われる縁起物!ナンテンの中毒】

■概要

ナンテン (Nandina domestica) はメギ科 (Berberidaceae)に属する多年生常緑低木である。主に中国、日本、インドに自生し、観賞用として栽培される。日本ではナンテンが「難を転じる縁起物」として愛され、果実は冬に美しく結実することから門松の彩として冬のホリデーシーズンによく販売されている。

特に果実にはシアン配糖体が高濃度に含まれ、摂取によりシアン化水素(HCN)が生成され、イヌネコや人、野鳥に中毒症状を引き起こす。


■原因物質

主な毒性成分はシアン配糖体(cyanogenic glycosides)であり、特に果実に高濃度で存在するが、他の部分にも存在する。

シアン配糖体は誤飲後、体内でシアン化水素(HCN)に変換される。シアン化物はミトコンドリアに作用する毒素であり、チトクロームオキシダーゼを含む多くの酵素を阻害し、細胞の恒常性を乱す。


犬の中毒診療で重要な催吐処置!トラネキサム酸の投与で犬が嘔吐するのはなぜ?


■犬の誤飲時に使われるトラネキサム酸って何?

ペットの異物誤飲では、中毒や消化管閉塞を起こす可能性があり早急な対処が必要です。飲み込んであまり時間が経っていなければ、消化管に吸収されてしまう前に吐かせることが重要です。

副作用が少なく、投与から催吐までの時間が短いことから動物病院で汎用されているトラネキサム酸は抗プラスミン薬であり、出血傾向や異常出血を適応として承認されています。このトラネキサム酸には、よく見られる副作用として嘔吐があります。これを利用して、動物病院では異物誤飲してまもない動物に嘔吐を誘発させる際にトラネキサム酸を通常より多めの用量で静脈注射することがあります。トラネキサム酸を催吐に使う上で痙攣や血栓形成などの重大な有害事象も報告されています。しかし、ドパミン受容体作動薬(犬)やα2受容体作動薬(猫)など他の催吐目的で使われる薬剤でよく見られる鎮静作用がトラネキサム酸にはなかったり、価格面での優位性などからトラネキサム酸はよく用いられていました。私自身、動物病院勤務では犬に対してはトラネキサム酸を用いており、その効果の高さと有害事象の少なさは実感していました。

今後は、日本でも初の犬の催吐を適応としたドパミンD2受容体系の薬剤が上市される見込みで、催吐薬の第一選択なども今後変わっていくポイントになるかもしれません。


■トラネキサム酸の機序は?



【最近たまに耳にするCBD、ペットへの安全性試験のデータ】

ペット向けCBDなどをよく耳にするようになりました。安全性試験における忍容量や有害事象などについてご紹介します。有効性については他の資料を参照ください。なお、本内容の詳細はpanasonic様のメールマガジン(https://solution.hvac.panasonic.com/newsletter-join-vet)で無料配信させていただいております。


結論から述べると、適切な量(5~20mg/kg)のCBDを犬に用いた実験では下痢や皮膚の発赤など有害事象は見られるものの一過性で重症度は低いことがわかりました。しかし、CBD製品の中には精神作用を引き起こす違法成分であるTHCが混入している場合もあるため注意が必要となりました。各試験ともに忍容性は高いとしているものの、全頭で下痢が必発しているのが少々気になりました。どの程度の下痢であったかは詳細の記載がないのですが、もしCBDを使用されている先生でご存知の方がいらっしゃればお教えいただければ幸いです。


■概要

大麻草にはテトラヒドロカンナビノール(THC)やカンナジビオール(CBD)などの数百種のカンナビノイドという物質が含まれています。THCは脳内のカンナビノイド受容体に結合して精神作用を発現するため、日本では使用が禁止されています。カンナビノイドとはカンナビノイド受容体に結合する、大麻由来の生物学的活性がある化学成分のことです。

カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビジオール(CBDA)は、大麻から抽出される非精神作用のカンナビノイドです。


グループについて

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メンバー

  • Yurika Nakamura

    🎓 動物看護師コース履修

  • sakurai tomoiro

    👩‍🏫 麻酔学eClass Ⅰ

    👩‍🏫 神経学eClass Ⅰ

  • ふじた

    👩‍🏫 麻酔学eClass Ⅰ

    👩‍🏫 麻酔学eClass Ⅱ

  • KM

    👩‍🏫 麻酔学eClass Ⅰ

    🎓 獣医師 MASTER コース履修

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