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🧪 グループ|ペットの中毒ライブラリーー犬猫の中毒予防研究室ー

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【最近たまに耳にするCBD、ペットへの安全性試験のデータ】

ペット向けCBDなどをよく耳にするようになりました。安全性試験における忍容量や有害事象などについてご紹介します。有効性については他の資料を参照ください。なお、本内容の詳細はpanasonic様のメールマガジン(https://solution.hvac.panasonic.com/newsletter-join-vet)で無料配信させていただいております。


結論から述べると、適切な量(5~20mg/kg)のCBDを犬に用いた実験では下痢や皮膚の発赤など有害事象は見られるものの一過性で重症度は低いことがわかりました。しかし、CBD製品の中には精神作用を引き起こす違法成分であるTHCが混入している場合もあるため注意が必要となりました。各試験ともに忍容性は高いとしているものの、全頭で下痢が必発しているのが少々気になりました。どの程度の下痢であったかは詳細の記載がないのですが、もしCBDを使用されている先生でご存知の方がいらっしゃればお教えいただければ幸いです。



■概要

大麻草にはテトラヒドロカンナビノール(THC)やカンナジビオール(CBD)などの数百種のカンナビノイドという物質が含まれています。THCは脳内のカンナビノイド受容体に結合して精神作用を発現するため、日本では使用が禁止されています。カンナビノイドとはカンナビノイド受容体に結合する、大麻由来の生物学的活性がある化学成分のことです。

カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビジオール(CBDA)は、大麻から抽出される非精神作用のカンナビノイドです。


■CBDの種類

カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビジオール(CBDA)



■安全性試験の結果

試験①ビーグル30頭にCBDを6週間経口or経皮投与。量は1日に10mg/kg〜20mg/kg。

全頭に下痢が発現。嘔吐は6/30頭、耳介紅斑11/30頭、肝酵素(ALP)上昇11/30頭。


試験②ビーグル32頭にCBDを90日間経口投与。量は1日に5mg/kg。下痢32/32頭、ALP上昇(詳細不明)、一部で軽度の唾液分泌過剰(詳細不明)。


■治療

安全性試験①ではメトロニダゾールの投与が下痢に対して実施されました。

人の病院の中毒にまつわるブログなどを見ると、CBD製品に混入したTHC中毒の疑い例なども存在するようですが、CBDは分子量314.2、違法薬物のTHCは分子量314.46であるため、理論上は活性炭に吸着すると考えられます。


■まとめ

CBD自体の有害事象は一過性で、ベネフィットがリスクを上回る場合は許容できる範囲と思われました。しかし、THCが混入している粗悪な品質の製品を避ける必要があります。

もし使用する際はメーカーをよく選定することが重要と思われました。


・①MCGRATH, Stephanie, et al. A report of adverse effects associated with the administration of cannabidiol in healthy dogs. Vet Med, 2018, 1: 6-8.


・②BOOKOUT, William, et al. Safety study of cannabidiol products in healthy dogs. Frontiers in Veterinary Science, 2024, 11: 1349590.



・BRUTLAG, Ahna; HOMMERDING, Holly. Toxicology of marijuana, synthetic cannabinoids, and cannabidiol in dogs and cats. Veterinary Clinics: Small Animal Practice, 2018, 48.6: 1087-1102.


・KRGG, COMPOUND: C06972, https://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?cpd_ja:C06972


・Golombek, P.; Müller, M.; Barthlott, I.; Sproll, C.; Lachenmeier, D.W. Conversion of Cannabidiol (CBD) into Psychotropic Cannabinoids Including Tetrahydrocannabinol (THC): A Controversy in the Scientific Literature. Toxics 2020, 8, 41. https://doi.org/10.3390/toxics8020041, http://cannabis.kenkyuukai.jp/images/sys/information/20220323163306-513E6D60D9A4DEBA2934AC68C4AD79258939FB4B5B2B7978A2BD03C0AD9BBDD0.pdf


・De Briyne, N.; Holmes, D.; Sandler, I.; Stiles, E.; Szymanski, D.; Moody, S.; Neumann, S.; Anadón, A. Cannabis, Cannabidiol Oils and Tetrahydrocannabinol—What Do Veterinarians Need to Know? Animals 2021, 11, 892. https://doi.org/10.3390/ani11030892, http://cannabis.kenkyuukai.jp/images/sys/information/20210720161942-DFA32AE7CACE419D40D919F5E8A934137E70006F26991AD47A11E1A40A371F52.pdf

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  • Yurika Nakamura

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