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🧪 グループ|ペットの中毒ライブラリーー犬猫の中毒予防研究室ー

公開·35名のメンバー

【イブプロフェン】


■はじめに


米国の中毒ホットライン”Pet Poison Helpline”では2018年から2023年に報告された中毒の上位20物質を発表しております。6位は鎮痛剤としてもよく用いられるイブプロフェンです。これを2019年以降にすると、イブプロフェン中毒は5位に上がってきています。精査はこれからですが、新型コロナウイルスのパンデミックのなかで解熱鎮痛剤がより生活環境に増えたなどの変化の影響もあるかもしれません。

本日は犬のイブプロフェン中毒について、ご存知のことも多いかもしれませんが振り返りたいと思います。



■概要

イブプロフェンは犬や猫に中毒を起こす。イブA錠EXでは1錠あたり100mg含まれている。体重1kgの犬では1錠で下痢嘔吐などを発現し、2錠で前述の徴候のほか血便、急性腎障害を起こし生命の危険に瀕する可能性があることから注意して保管する。


■原因物質

イブプロフェン


■臨床徴候(症状)

摂取する量により症状は増悪する。嘔吐、下痢、吐き気、腹痛、食欲不振。 以上に加えて、吐血、黒便、多尿または多飲、少尿、尿毒症、急性腎不全。けいれん、運動失調、昏睡、ショックを起こす。




■中毒量


基本的には25mg/kg以上の誤飲で嘔吐、下痢、嘔気(nausea)、腹痛が発現

する。175mg/kg以上の摂取で、血便や急性腎障害に起因すると思われる多飲多尿、もしくは乏尿、尿毒症が見られるようになる。400mg/kg以上の摂取では痙攣や運動失調、昏睡なども引き起こされ、600mg/kg以上の摂取で死亡する。


低容量であっても連用することで中毒が発現する。1日8mg/kg/dayの投与を30日間継続すると、臨床徴候としては発現しないものの、胃潰瘍や腸の炎症を起こす可能性がある。16mg/kg/dayの投与を継続すると56日目(8週目)までに嘔吐や下痢、血便のほか体重減少などの臨床徴候が見られるようになる。


■中毒を起こしやすい動物種・犬種

好奇心旺盛な個体では特に注意が必要


■催吐

速やかな除染は有効。摂取から2時間以内で胃内に残留している可能性があり、嘔吐や神経症状を示していない状態であれば催吐処置を行う。神経症状があり、誤嚥性肺炎を起こすリスクなどが高い場合は胃洗浄が選択肢になる。摂取後の時間に関わらず、活性炭の投与も有効。6~8時間毎に投与します。イブプロフェンは腸肝循環(enterohepatic recirculation)を経て吸収されるため複数回の投与が有効です。


■治療

H2ブロッカーやプロトンポンプ阻害剤などの制酸剤を使用する。水酸化マグネシウムやアルミニウムを使用した酸中和剤も有効。禁忌なのは次サリチル酸ビスマス(bismuth subsalicylate)やKaopectateで、イブプロフェンと相互作用する可能性がある。これらの消化管出血や潰瘍への治療は7日~14日以上継続する。貧血があれば輸血、消化管穿孔があるときは手術も行う。腎障害やそれを引き起こす量を摂取してしまった際は最低でも48時間は維持量液の2倍(120ml/kg/day)の静脈輸液を行う。BUN、クレアチニン、リン濃度は毎日確認する。腎機能が摂取から48時間時点で正常であれば、さらに24時間輸液を行い離脱する。結果が正常に戻るまで輸液を継続する。痙攣や発作が見られる場合はジアゼパムなど抗てんかん薬で管理します。




■注意すべきこと

少量でも重篤な中毒を起こしうることから、人間の薬は高く扉のついた棚に厳重にしまうなど特に保管に気を付ける。


■参考

・DUNAYER, Eric. Ibuprofen toxicosis in dogs, cats, and ferrets. VETERINARY MEDICINE-BONNER SPRINGS THEN EDWARDSVILLE-, 2004, 99: 580-586.


・エスエス製薬,イブA錠EX, https://www.ssp.co.jp/product/all/eveaex/ , 2023/09/29参照


・ADAMS, S. S., et al. Absorption, distribution and toxicity of ibuprofen. Toxicology and applied pharmacology, 1969, 15.2: 310-330.


岩井 大樹

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