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🧪 グループ|ペットの中毒ライブラリーー犬猫の中毒予防研究室ー

公開·49名のメンバー

【ソテツ】 

危険度★★★

■概要

ソテツ(Cycas revolta)には有毒なサイカシンが含まれており、腸内細菌の働きで毒性の強いメチルアゾキシメタノールに変化します。犬では肝毒性を示し、2過去の34頭の症例報告では最終的な致死率は50%となっています。種、葉の毒性が強く誤食に注意が必要です。



2003年から2010年の間に、アメリカルイジアナ州では34頭の犬のソテツ中毒が報告されています。治療を受けたにも関わらず、最終的な致死率は50%であり、毒性が強い植物であるので注意しましょう。



■原因物質

ソテツに含まれる主な毒素はサイカシン(cycasin)というアゾキシ配糖体です。これは腸内細菌のβグルコシダーゼにより加水分解されてメチルアゾキシメタノール(MAM)に代謝されます。MAMは神経毒性、発がん性、肝毒性、変異原性、催奇性を持っています。犬の死亡例は生存例と比較し、ALT、総ビリルビン濃度が高く、血清アルブミン濃度が低く、血液凝固時間のPT、APTTともに延長していたことが示されており、肝機能障害や播種性血管内凝固症候群(DIC)、全身性炎症反応症候群(SIRS)が犬では死亡リスクに相関していると考えられます。多変量解析では、ASTが高いことも死亡など負の予後因子です。


■臨床徴候(症状)

高体温、脱水、黄疸、流涎、腹痛、震え、意識障害、運動失調など


■中毒量

不明


■中毒を起こしやすい動物種・犬種

34例の報告ではさまざまな犬種が含まれていましたが、ドーベルマン・ピンシャーとパグで多く中毒が見られたとしていますが、n数が少ないので好発犬種については今後のさらなる情報収集が必要です。



■催吐の可否

9頭の犬(26%)にアポモルフィンを使用して嘔吐が誘発されています。

多変量モデル解析では、初回治療時に活性炭を投与することが生存期間の延長と関連していました。



■治療

62%の犬に活性炭が投与され、統計学的にも生存期間の延長に寄与していることが示されています。

他には輸液、新鮮凍結血漿輸血、抗菌薬、肝保護剤、ビタミンK1、ラクツロースなど肝臓の保護を目的とした治療が行われています。



■注意すべきこと

中毒物質のサイカシンは種、根、葉に含まれているため、すべての部分を犬が誤食しないよう注意する必要があります。



■参考

・FERGUSON, D., et al. Survival and prognostic indicators for cycad intoxication in dogs. Journal of veterinary internal medicine, 2011, 25.4: 831-837.


・Spatz, M. (1969). TOXIC AND CARCINOGENIC ALKYLATING AGENTS FROM CYCADS. Annals of the New York Academy of Sciences, 163. https://doi.org/10.1111/j.1749-6632.1969.tb24905.x.


・石塚真由美ほか. 『獣医学教育モデル・コア・カリキュラム準拠 獣医毒性学 』



グループについて

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メンバー

  • Yurika Nakamura

    🎓 動物看護師コース履修

  • sakurai tomoiro

    👩‍🏫 麻酔学eClass Ⅰ

    👩‍🏫 神経学eClass Ⅰ

  • ふじた

    👩‍🏫 麻酔学eClass Ⅰ

    👩‍🏫 麻酔学eClass Ⅱ

  • KM

    👩‍🏫 麻酔学eClass Ⅰ

    🎓 獣医師 MASTER コース履修

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