【甘味料アドバンテームの犬への安全性】
キシリトールが犬に有毒であることはよく知られています。猫に対して有毒かは少ないものの、犬ほどの重篤な症状は起こさないだろうという研究はいくつかあります。エリスリトールは以前ご紹介しましたが、適正使用すれば重篤な症状なく用いることができるなどの研究があります。
他の甘味料では毒性はどうなのか、ご紹介していきます。本日は比較的新しい甘味料のアドバンテームについてご紹介します。
■概要
アドバンテームは味の素株式会社が開発したアミノ酸系甘味料です。砂糖の20,000倍から40,000倍の甘味度を持つものです。砂糖代替製品としてスーパーでもよく見かけます。猫は甘味を感知しませんが、犬は甘味受容体が発現しているので、もしかしたらこうした砂糖代替製品を誤食してしまうかもしれません。
■物質名
アドバンテーム
■臨床徴候(症状)
ビーグル犬にアドバンテームをフードに混ぜて投与(0mg、83~82mg、421~406mg、2,058~2,139mg/kg/day)し、52週間(1年間)観察した試験では、いずれの用量投与群でも体重や食欲、一般状態に変化はなく死亡例もありませんでした。2,000mg以上投与のオス犬で心拍数の上昇が認められたものの、試験実施担当者は有意な変化ではなく、アドバンテームの投与に関連したものではないとコメントしています。そのほか血液学的、血液生化学的、尿検査などでも影響はなかったとされています。
■無毒性量
52週間(1年間)の投与試験においては、オス犬で1日体重1kgあたり2,058mg、メス犬で2,139mgが与えても毒性を発現しない量と考えられます。
より短期的な毒性を見る目的で行われた13週間(3ヶ月間)の試験では、死亡例はありませんでしたが、アドバンテームを投与していない犬も含め全ての個体で軟便が観察されました。
しかし、軟便に関しては毒性を示すものではないとコメントしています。
3ヶ月の短期間の試験における無毒性量は1日あたりオス犬で667mg/kg、メス犬で703mg/kgと評価されました。
■コメント
死にいたる重篤な症状は調べられている限りではなく、ペット用品で使用されているものも調べた限りではありません。日本で開発された甘味料であるためか、海外でも使用例はそれほど多くなさそうです。そのため、犬が口にする機会は少ないと思われますが、人の砂糖代替製品に用いられることがあるので台所での誤食に注意が必要です。また、砂糖代替製品には単独ではなく他の甘味料と併せて使用されていることがあります。誤食して中毒を起こすかどうかは、他の物質の安全性も確認しなければならないので、誤食した場合は含有成分がわかるようパッケージなども持って動物病院を受診してもらうように指示することが重要と思われます。
■参考
・アドバンテーム, 食品健康影響評価, https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000028244.pdf
・味の素株式会社プレスリリース:https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/presscenter/press/detail/2014_05_27.html
・パルスイート®︎カロリーゼロ(液体タイプ)https://www.catalog-taisho.com/category/04/006/04888/